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ほんほん その2

いろんな本の書評

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"ドイツの根底にあるもの"


ヨーロッパの街角から
蓮見幸恵新教出版社2001年12月
 ドイツに赴任した牧師夫妻の、日本に送られてきたニュースレターをまとめた本。ドイツの様々な生活の端々が見えてくる。 (たとえば、昔の歴史的建造物を守るために、ドイツでは「オール電化」が当たり前になっているとか)
 ベルリンや東ドイツ、イタリアやスイス、「きよしこの夜」の教会など、かなりあちこち行かれていて、観光ガイドとしては、面白かった。

"良いおっぱい悪いおっぱい"

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伊藤比呂美冬樹社1985年11月
集英社1992年7月
 たとえば「たまOクラブ」とかのような教育的な、「教えて頂く」ような出産・育児の話でなく、本文中に「がさつぐうたらずぼら」と書かれている通り、子供のあるがままを描いた育児体験書。 昔からの、たとえば「戌の日に腹帯をする」といった常識とされる事とは何なのか、どうしてもしなければならない事なのか、しなくても良い事ではないのか、などの他、自分の好きな通りに書いてあって、 20年前の本と言う事もあり、今の常識や、わたくしめの常識から考えるとどうなのだろう?と思える事も書いてあるけど、まあまあ面白かった。
 とは言うものの、実は、文庫本にあるまめまめ旦那の後書き、中川李枝子さん(ぐりとぐらの)の解説の方が本当は本文より面白かった。
 映画化されたはずだけど、何をどう映画化したのだろう?
 

"海と毒薬"

*
遠藤周作新潮文庫1960年7月
 高校生の頃確か読んだはずなのに、まったく記憶に残っていなかったので、改めて読み直した1冊。
思わせぶりの重々しい導入と、「衝撃の事実!!!」という展開と、オチのないエンディングとが、わたくしめ心をとらえなかったのだろう。
戦時中と言う事もあり、人を故意に殺す事に罪悪を感じる主人公(かな?)勝呂や、感じない事にしている医学生戸田、 自分こそ人生の最大の被害者で有るから罪悪感のかけらも感じないようにして、異形なものへの畏怖は持ち合わせているけどかえって目に見えるものには反抗心を持ち出す看護婦上田などを通し、罪というものはどういうものだと思いますか? と、読者に問いかけている本。
 でも、今時はこんなまだるっこしい本は読まないよなぁ〜、クリスチャンでも。オチがないし。

"聖書のフェミニズム"
女性の自立をめざして

絹川久子ヨルダン社1987年3月
 最初タイトルを見て、序論を読んだ限りでは、この著者はどんな聖書批判(男性が書いたものだから信用ならない)を展開するのか心配だったけど、著者の論点はどちらかというと、 今までの主な解釈者が男性であったため聖書は男性的な解釈が多かったものの、ちゃんと読めばそうではなく、かえって女性を解放するものであるという読み方をしているのである。それはそうと、例のマルタとマリヤの姉妹の話では、 イエス様がマリヤを誉めたのは、女性がすべきと言われている家事などの仕事から女性を解放するためだったと解釈している点は、へぇ〜そう言う読み方もできるのか、とびっくりしてしまった。

"私の赤い手帖から"
忘れえぬ言葉

三浦綾子小学館1988年1月
 今さら説明の必要がない三浦綾子さん自身を取り巻く色々な人から掛けられた一つ一つの言葉から思い起こしたエッセイ集。これだけの方なのに自分を低くされるのには恐縮至極だったり、 なんて本文とは関係ないところで感心してしまった。

"白い犬とワルツを"

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テリー・ケイ(兼武進:訳)新潮社1995年3月
(新潮文庫1998年3月
 仲代達也主演で邦画が上映されているらしいけど、その原作本。例の本で有名な米国南部マジソン郡の、ひとりの老人の、老いて行く我が身を嘆いていく本。いい話だとは思ったけど、絶対に泣けないと思う。 (どこで泣いたらいいの?どこが悲しいの?「老人と海」を読んだときも思ったことけど。)でも、こんな犬がいたらいいなぁ、とは思う。

"アンドロイドは電気羊の夢を見るか?"

フィリップ・K・ディック
(浅倉久志:訳)
ハヤカワ文庫1977年3月刊
 未だに根強いファンを持つ映画「BLADE RUNNER」の原作本なんだけど、こんなに捻りがない本のどこがいいんだい?って感じ。時代が違うって言えばそうなんだけど、だとしたら当時は時代背景の面白さで売れていたのかなぁ。一応宗教論みたいな物もちょっとだけ出てくるけど、別にこれだって欧米の有識者なら特にどうだって事はないし。
ちなみに時代設定は核戦争後の1992年1月って事になっている。
 

"ゼロの焦点"

松本清張新潮文庫1971年2月刊
(光文社1959年12月刊)
 清張さんは鉄道好きなんだなぁって事と、昔はローカル私鉄電車がどんな田舎にも走っていたんだなぁ、ってことが分かった。(なんだそりゃ?)
 戦後の影ってものがわたくしめにはよく分かってないんだけど、そういうことなのかなぁ、何も人殺さんでもと思うけど。
 

"騙し絵日本国憲法"

清水義範集英社1996年4月刊
 氏の作品にしては抱腹絶倒ではないけれど、日本国憲法と言う物を色々考えてみた作品で、興味深くはあった。
 

"寒い国から帰ってきたスパイ"

ジョン・ル・カレ(宇野利泰:訳)ハヤカワ文庫1978年5月刊
 まぁ、暗い話。スパイ同士の裏切りの話。こういうラストは今になってはよくある話なんですど、当時としては「衝撃の展開!」だったんだろうなぁ。
 

"岸辺のアルバム"

山田太一東京新聞出版局1977年7月刊
 実際にあった多摩川の氾濫をモチーフにした、家庭内暴力が騒がれる前の頃の、家庭が崩壊する話。TBSでドラマ化されて話題になった。今の時代だったら、もっと悲惨で陰惨な家庭内離婚や崩壊の話が書けるよな。当時はこれでもものすごいことだったはず。当然「金妻」はこの後。
 

"星の林に月の舟"

実相寺昭雄ちくま文庫1991年4月刊
(大和書房1987年2月刊)
 「ウルトラマン」シリーズの製作の中枢に関わっていた氏の、そのメイキングに関する出来事を元にした小説。ただし文章構成力は弱く、読んでて疲れた。
 

"いちご同盟"

三田誠広河出書房新社1990年1月刊
 年頃の男の子を描いた作品。心の動きが分かって、まあまあおもしろい。
 

"ねじの回転"

ヘンリー・ジェイムズ(蕗沢忠枝:訳)新潮文庫1962年7月刊
 冒頭に「幽霊が、いたいけな子供に出たと言うことが、特に人の心を打つ(六頁)」ってあるんだけど、まさにその話。百年前のサイコホラーってのは、こういう物なのかしらん。椎名誠の同名本を読むために買ってみたんだけど。
 

"スカートの下の劇場"

上野千鶴子河出書房新社1989年8月刊
 鮮烈的なタイトルと思わせぶりな表紙から、爆発的に売れたねぇ、わたくしめは古本屋で買ったけど。要するに下着から見た女性論、男性論。鮮烈的な挿し絵もこんなにあったんだ、忘れてた。
 一時期彼女は自前のフェミニスト論で引っ張りだこだったけど、どこ行っちゃったんだろう。
<参考:「エロティシズム」>