ホームほんほんお薦ぬ!


今月はマンガいろいろ、です。


 書名著者出版社ジャンル

"AKIRA"

大友克洋講談社1989年9月おとこのこ
 いままで、読もうと思っても、なかなかの大作ゆえ、かえって臆してしまって読まなかったのだけれども、流石に時代を作った1冊だけあって、読み応えは抜群だった。

 1988年に東京に原爆が落ちて(じゃなかったけど)、第3次大戦起こった後2011年の「ネオ東京」が舞台。(だから、周辺国にまだ「ソ連」がある)だもんで、日本だけど「アーミー」はいるし、衛星兵器があったり、 なによりその「AKIRA」をめぐって、軍と怪しげな宗教とゲリラ(?)が対峙したりと、ハチャメチャなストーリーなのにまとまっているのは、作者の力量だと思う。(流石に世界の先駆者!)
 ドラッグにより覚醒した「大日本帝国」やAKIRAに対して、侵攻する米軍は通常兵器で対抗という風にした意味はなぜなんだろう。米軍の「超能力者」あたりが出てくると思ったのに。
 主人公(?)金田があのAKIRAのビックバンのあと、行方が分からなかったのは、もう少し色々な意味があるのかと思ったのに、そのままひょっこり本編に当たり前のように参加していたのは、ちょっと残念だったけど、 オーラスのあの金田の行動は、若者らしさの現われか、清々しさを感じた。
 なかでも、一番好きなキャラは、怪力の「おばさん」だったなぁ(笑)。

 ドラゴンヘッド(望月 峯太郎)は、どうみてもこのマンガの影響を受けすぎていると思う。
 

"三たびの海峡"

帚木蓬生新潮社1992年4月
1995年8月新潮文庫
おすすめ
 戦争末期に朝鮮半島から福岡の炭坑に強制連行された「私」は、戦後対馬海峡を隔てただけの釜山で財をなしたが、 その福岡にいた時代の話は子供たちに語ることも、自身振り返ることもなかった。それが振り返るきっかけが出来てしまい、「3度めの海峡」をわたることとなったが、 それは過去の自身との対話、そして色々あった人たちとの対面することになる。

 どこまで事実か分からないが(最後の「コールマイン・パーク」などは、実際どこの村にも存在しない)、ただ忠実に取材をされていると言うのがよく分かる丁寧な作品で、 最近の対日感情にあるような、「だから日本はイカンのだ!!」と直接語るわけでなく、日韓の長く不遇な時代を着実に語っている。
 

"ドイツの根底にあるもの"


ヨーロッパの街角から
蓮見幸恵新教出版社2001年12月とりあえず
 ドイツに赴任した牧師夫妻の、日本に送られてきたニュースレターをまとめた本。ドイツの様々な生活の端々が見えてくる。 (たとえば、昔の歴史的建造物を守るために、ドイツでは「オール電化」が当たり前になっているとか)
 ベルリンや東ドイツ、イタリアやスイス、「きよしこの夜」の教会など、かなりあちこち行かれていて、観光ガイドとしては、面白かった。