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マンガ評

いろんなマンガ・少女小説の書評

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"エデン2185"

竹宮恵子角川書店1998年11月
(竹宮恵子全集)
 たとえば彼女の代表作「地球(テラ)へ」は、異星から「希望の源」である母なる地球へ帰っていく中での話であるが、この作品は逆に、地球を出、太陽系を出て、まだ見ぬ新しい惑星エデン2185へ旅立っていく話。 巨大なコロニーでもある同名の宇宙船エデン2185が、太陽系を出、後戻りも出来ず、かといって百年後に到着するであろう惑星エデン2185に着いたところで多くの者が「約束の地」を見ずに死んでいくわけで、 そうでなくてもその惑星エデン2185が人間が住めるところである保証は何もない。その中で生じる様々な葛藤を、竹宮恵子らしくきれいにまとめている。
全集なので、他の短編も収録。
 

"百億の昼と千億の夜"

光瀬龍/萩尾望都秋田書店文庫1994年4月
 「ポーの一族」や「トーマの心臓」が素晴らしいので、思わず買ったのだけれども、まぁ原作付きと言うことは原作の善し悪しが関わってくるわけだよなぁ。どこまで原作に忠実なのか分からないけど、なんか読んだ後消化不良の気分になる作品。 人間が神(この作品の中では高度な文明を築いた異星人のことを指す)によって、まるでフラスコの中の液体のように実験的に作られ、その「神」とはいったい何なのか、と言うことを「選ばれし者」が探るというストーリーなんだけれども、 オチとしては、「我々は、所詮釈迦の手のひらの孫悟空である」と言うことなんだろうけど、そこまで行くのにかなり引っ張っていった割にはもう少し詳しい説明の付いた「オチ」が欲しかったなぁ〜

仏教に関してはかなり詳しいのに、キリストの誕生の頃の世情なり顛末なりはかなりいい加減だなぁ〜。当時のユダヤはヘロデ大王によってかなり(見た目での)平和が保たれていたし、ミカエルなんて本当は一切出てこないし。
 

"トーマの心臓"

萩尾望都小学館文庫1995年9月刊
 昔の人が幸せだなぁって思うことの一つに、これだけ重たいマンガがリアルタイムで読めたって事だと思う。最近はどこの国とも分からないような、いい加減な舞台設定ばかりだもんなぁ。
 1人の少年の自殺の意味をめぐる話。舞台がギムナジウムってのがすごいよな。それにドイツだったら避けて通れないキリスト教的背景もちゃんと押さえてあるし。
 

"あの夏に・・・"

折原みと講談社X文庫1995年8月刊
 今って全然興味ないから知らないけど、あの頃の”オリミト”ブームってすごかったよねぇ。またよくあれだけ本を書けたなぁ。全く大○○法みたいに、ゴーストライターがいっぱいいるんでは、と思うぐらい。
それはともかく、オリミトさんにしては珍しく戦時中の、原爆の落とされる広島に関しての話。もちろん主人公は女子高生で、恋愛もあり。その時立ち読みしてて良かったので、何も考えずに衝動買いしてしまった。
 

"ひっくりかえったおもちゃ箱"

山本鈴美香集英社漫画文庫1978年5月刊
 「エースを」をつくる前の同女氏の作品。「スミ姫の一口美学」なんてのもついていて、当時はそういう時代なんだろうなぁ。結構楽しいラブコメ。

"あたしの中の・・・"

新井素子集英社コバルト文庫1981年9月刊
(奇想天外社1978年12月刊)
 氷室冴子と共に「少女小説」と言う物を確立した作者の処女作。高校の時はむさぼるように読んでいたけど、今読んでみると、女氏の言うとおり、星新一チックである。
 「大きな壁の中と外」や、コバルトのみ収録の「チューリップさん物語」には、このあとの「絶句」や「グリ−ンレクイエム」などに見られる彼女のモチーフであるところの「植物(動物)との共生」がテーマになっている。
 

"・・・絶句"

新井素子早川書店19年月刊
 上下巻約1000頁の本書を、正月休みの2日で読んだ気がする。それだけ面白かったのは、当時の流行作家であるという勢いと、当時わたくしめが好んで読んでいたと言うこととともに、 進化論では解決できない真実、なぜ人間は他の動植物を食べたり利用したりしてもいいのか、「万物の霊長」だからか、だとした地球人よりより優れているETが来た場合には人間は殺されて当然なのかなど、 重そうなネタを愛と笑いでサラッと解決している。新井素子さんの頭の中(当時)って言うのは、こうなっているんだ、と分かる本でもある。
 

"なんて素敵にジャパネスク"

氷室冴子集英社コバルト文庫1984年5月刊
 少女小説黄金期を作り出した1シリーズ。マンガにもなったし、テレビドラマ(単発)にもなった。全8巻。ちなみに「あさきゆめみし」や「桃尻語訳枕草子」はこのちょっと前の出版。
 

"エロイカより愛をこめて"

青池保子秋田書店:現在26巻
(プリンセスコミック)
 最初は「イブの息子たち」のようなラブコメだったのに、主役はどう見てもNATOの少佐である。 そんなこんなで東西冷戦下ではKGBとの戦いだったのだけど、ベルリンの壁が崩壊してが無くなって、さて続くのかしらと思ったら、しばらくの休憩の後20巻から新シリーズが登場!同じキャラだけど。
 伯爵の部下って、みんなどこ行っちゃったの?
 

"櫻の園"

吉田秋生白泉社1986年10月刊
 等身大の女の子たちの恋愛や、普段の生活が描かれた、綺麗な作品。何か賞を取っているはず。同氏の「川よりも長く緩やかに」(小学館FLビッグコミックス)は、同じく男子高校生をメインにした作品で、これもおすすめ!
 ただ本文中に「あたし倉田さんが好きよ」の一言があるだけなのに、同作品を元にした同名映画は、変なレズ映画に出来上がっているので、死んでも見るべきではない!別にそういう意味の「好き」じゃねぇだろう、この場合!
 

"ガラスの仮面"

実内すずえ白泉社1976年4月刊
(花とゆめコミックス)
 演劇を志す者としては、冗談でも何でもこの作品の話題やフレーズが噂に上らないはずがない!
 実演化に当たり、大竹しのぶは許せなかったけど、安立祐実がマヤ役をやるのは許せると思った。野際洋子の月影先生も良かったなぁ。
 それはともかく今のところ全41巻。さてこの文字通りの大河ドラマはいつ、どのようにして終わるのでしょうか。(終われるのかなぁ。。。)
 

"通りすがりに殺したい"
"behind"

竹宮恵子白泉社1984年9月刊/同1987年4月刊
 突飛な格好、飛び出た性格、恵まれた風にも見える家庭環境。高校の頃あんな生活にあこがれたよ、ちょっと。
 2冊とも、色々影のある男子高校生、姫川基が主人公である作品の短編集。
 

"私を月まで連れてって!"

竹宮恵子小学館1982年1月刊
(FLビッグコミックス)
 A級宇宙パイロットと9歳のESP少女を中心としたSFラブコメディー。表題の"Fly Me to The Moon!"や、ビートルズの"When I`m Sixtyfour"が挿入されたり、二つの意味で「恋に恋する時代」の楽しいラブコメ。
 現在、小学館で文庫が刊行しているはず。全5巻。
 

"動物のお医者さん"

佐々木倫子白泉社1989年9月刊
 当時話題を振りまき、夏がくそ熱い地方でもチョビ(シベリアンハスキー)をみんな飼ってたもんなぁ。 だもんでその後、横恋慕からどのワイドショー番組でも「シベリアンハスキー・バッシング」をやりだし、代わりに雅子様の飼っていた「ショコラブーム」を起こそうとしてたみたいだけど、失敗だったよな。 著者にしてみればシベリアンハスキーの新しい生態を知ることが出来て(帰巣本能が薄いとか)、かえって助かったみたいだったけど。全12巻
 

"花盗人たちの夜"

川原由美子小学館1984年6月刊
(フラワーコミック)
 表題を元にした3作品と短編1作品掲載。「花盗人」って言うのはもちろん、花と女の子とを掛けているんだけど、ふんわりベールの架かったような恋の予感が気持ちいいです。
 

"卒業までの1000日"

折原みと実業之日本社1992年1月刊
(MBコミック)
 表題通りの卒業物ラブコメと、2つの短編。ひょっとして、俺ってこういうの好きか?
 

"吉祥天女"

吉田秋生小学館1990年2月刊(叢書版)
 中学の時クラスの女の子に貸してもらって読んだときはまだよく分からず、大学生になって叢書版(辞書サイズ)を買って読み、 「・・・血が怖いの?」「女はね血なんて怖くないのよ・・」「だって毎月血を流すんですもの」なんて台詞があったり、女って怖いなぁと気付いた。
 逆にこの本を読んで、女の特権を生かしてない女性を見ると、もったいないなぁと思ってしまう。
 

"ピーチガール"

上田美和講談社1998年1月
(別フレKC)
なんでさえちゃんは、あそこまでももちゃんだけをつけねらうのだろうか?他の子ではいけないのだろうか?と言う謎を残しながら、LITEにパッパッパと読めてしまう、 ジェットコースター感覚の、UPDOWNが激しいコミック。ひょっとしたらさえちゃんとももちゃんは、小さい頃何か因縁めいたものがあったのでは?なんて大河ドラマ構造には、ならないだろうなぁ、この作者の力量だと。
講談社マンガ賞ももらっているはず。現在11巻。

"思春期未満お断り"

渡瀬悠宇小学館1991年7月刊
(少コミフラワーコミックス)
 同氏の作品としてはアニメ化された「ふじぎ遊戯」よりも面白いと思う。けど、「ふじぎ遊戯」もそうだったけど、この作者はすぐ強姦に話を持っていくのが、なんだよなぁ。正編2巻、続編2巻と完結編の計5巻。
 

"SHOUT!"

愛するために生まれた魂
堀田あけみ集英社1988年4月刊
 当時は押すに押されぬバンドブーム、男の子たち3人兄弟のバンドに入った、純な女の子の話。
 この人(作者)はこういうジュブナイル物書いてた方が、嫌みが無くていいと思う。これは感動したけど、この後の著作は段々嫌みっぽくなっていくもんなぁ。だもんでファン止めた。